大企業の中で新規事業を起こすことがなぜスタートアップより難しい5つの理由【成功の秘訣を紹介】

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「新しい事業やサービスを立ち上げる」といっても、状況によって難しさがが違います。
大きく大別すると、

1. 大企業の社内で新しい事業を起こす
2.スタートアップで新しいサービスを立ち上げる

の2つがあります(実際は、はっきり分かれるわけではありませんが)

私自身、大手企業での新規事業とスタートアップでの新規事業の立ち上げを両方経験していることと、大手企業の新規事業人材の育成も行っていたため、やりながら気づいたことが多々あります。

この記事では、大手企業の中で新規事業を起こす場合と、スタートアップで新サービスを立ち上げる難しさの違いや、共通するところを洗い出し、様々な状況で新しいサービスの立ち上げに携わる方の参考になればよいなと思っています。

目次

大企業とスタートアップの新規事業に共通すること

まず共通することを3つご紹介します。

共通点①:0から新しい事業を起こすこと

場所がどこであろうが、今までやっていなかった新しいサービス、事業を起こすというところは共通です。
場合によっては、企業のサイズがかなり違うにも関わらず、類似のサービスが競合するケースも見られます。

共通点②:一定の時間とお金が必要なこと

新規事業はどうしても芽が出るまでにお金も時間もかかります。
場合によっては

「いつ成功するのか?」
「いつ利益がでるのか?」
「どれくらいの事業規模になるのか?」

ということを正しく予測することは非常に難しく、事業がなりたつまでにどれくらいの資金や時間が必要なのか分からないことが多いです。

スタートアップの成長を事業の根幹においているベンチャーキャピタリストでさえも、特に新規事業の初期段階でそれを予測するのは難しく、場合によってはその起業家の経験などをもとに投資を検討します。
連続起業家が多くの資金を集められるのはそれが背景です。

共通点③:人材不足

一般的には、ベンチャーのほうが良い人材を集めるのが難しいと思われがちです。
それはある意味正しいですが、大企業が簡単に集められるかというとそうではありません。

多くの大手企業の新規事業チームと仕事をしてきた経験からすると、なかなか社内の既存事業からいい人材を集められずに外部の業務委託に頼ったり、寄せ集めのチームになっていたり、様々な理由で人材が不足しているのが現状でした。

特に上層部の理解が無い限りは、エース人材は既存事業にかかりきりで、なかなか新規事業にアサインされません。

スタートアップの不利な点

自由度があり、新しい世界を情熱をもって作り上げることができる反面、起業の成功率は低いというのが現状です。
ではなぜ難しいのか?というところを大きく3つご紹介します。

①倒産のリスク

大手企業と違い、スタートアップは新しい事業が失敗すると、資金が底をつき、倒産する可能性が非常に高いです。
大手企業ですと既存事業があるなかでの失敗なので、全体の財務のなかで吸収することができますが、スタートアップではそうは行きません。

場合によっては黒字倒産(赤字ではないのに資金繰りに失敗し倒産する)なんてことも会ったりします。倒産全体の半分くらいが実は黒字倒産だと言われていたりします(下記記事が参考になります)

起業ログ
【黒字倒産をわかりやすく解説】倒産する要因と回避方法は? - 起業ログ 黒字倒産は、収益がある状態で支払い不能に陥って倒産することです。黒字倒産を知れば、健全な経営を行っていくために必要な視点を持つことも可能です。黒字倒産がなぜ起こ...

②リソースが少ない

リソースといっても様々です。
例えば、技術リソースもそうですし、取引先や調達先との関係性も含まれます。あらゆるものを0から始めるというのはやはり遅れをとるという以外の何ものでもないので、それは明らかに不利な面です。

スタートアップは、あらゆることを0から始める中で、どうやってそれを急速に巻き返し、既存の事業者を追い越していくかという、一見不可能に近い戦いを挑む必要があります。

それが難しくもあり、非常に面白くもあります。

③大きな資金へのアクセスが難しい

直近では日本も資金調達環境はだいぶ整って来たものの、やはり大きな資金へのアクセスに関しては不利です。

私が大手企業で新規事業を立ち上げていたときの10名ほどのチームの予算は、当時まだ全く利益が出ていないにも関わらず30億円ほどあり、普通に考えてありえない規模だと思います。

ただ、名目次第で予算自体はつくのですが、資金がたくさんあるから絶対に成功するわけではないのが難しいところです。

スタートアップは如何に少ない資金と短い時間で、成功確率を著しく上げる検証をし、それを元に資金を集め、大きな事業に対してアクセルを踏むかという、ヒリヒリする戦いが迫られます。

大企業の新規事業の難しさ

スタートアップの現状をみると、「大手企業が全然良さそう」と思いがちですが、実はそうでもありません。
それは5つの大きな点が関係します。

①大きな規模を求められる

大手企業の場合、既存事業が数千億や数兆円というケースも多々あり、新しい事業の規模感が、数億や数十億では事業として承認されない傾向があります。

まさにイノベーションのジレンマの1つで、特に新しい事業の創出への知見が少ない経営者が判断するとそういうことが起きがちです。

②株式をつかった(Equity)ファイナンスができない

お金の集め方で圧倒的に差があるのが、株式によるファイナンスです。基本的に、新しい事業にはある程度の予算が必要で、その間の資金を確保するために、株式による資金の調達は非常に重要です。

大手企業の場合は基本的に資本の100%を元の会社がもっていることがほとんどで、合弁会社でも出資元の会社のみが株主であることが多いです。

Amazonやメルカリもしかり、一定期間アクセルを踏みながら赤字でも成長に資金を投下していく事業成長のやりかたは、大手企業では取ることは非常に難しいです。

③意思決定に時間がかかる

新規事業の成功は、スピードが重要です。

うまくいくかわからない中で、どれだけ早く判断し行動に移すか、そして軌道修正していくかというのが重要です。

場合によっては、1週間単位、1ヶ月単位の定例会議でしか承認を得られず、それまでは動きが制限されてしまったりします。少しの出費も承認が通らず、やりたい検証が進まないなんてことも。

できるだけはやく改善や軌道修正の意思決定をしていくことが必須で、スピードが出せないということは致命的になりがちです。

④ルールが厳しい

コンプライアンスや上場企業など、どうしても作り上げられてしまった企業の中ではルールが厳しい傾向があります。例えば、下記の点です。

・サービスづくりの品質基準
・既存事業とのバランスによる制限
・個人情報などの情報管理

特に、小さくユーザー検証をしながらプロダクト開発をする際に、過剰な品質基準の適用やユーザーの個人情報を取得できない・管理できないというのは、成功率を著しく下げることに繋がります。

⑤創業者の圧倒的な熱量の欠如

先程書いたとおり、人材によって、資金調達のしやすさが決まることもあるなど、誰がやるかは非常に重要です。

自発的に考えた事業ではなく、配置換えで新規事業を担当する場合は、新規事業を立ち上げる際の困難やカオスを乗り越えるのが難しい場合が多いです。

大手企業の新規事業の成功確率を上げるために必要なこと

できないことばかりお話しても実りがないのでは、どうやったら成功確率を上げることができるのか?ということを紹介します。
大きく7つの視点があります。

①飛び地を作る(子会社)

まず、新規事業の組織を本社内の置くことをやめ、子会社を設置します。できる限り組織だけでなく、オフィスも別の場所にすることが望ましいです。

スティーブ・ジョブズも新規事業を開発する際は、場所や情報を完全に分けることを徹底していました。

既存事業と新規事業は、全く別物だと理解して完全に分けたほうがよいです。
場合によっては既存事業やそのチームが、新規事業の足を引っ張るなんてことも多々あります。
それを徹底的に排除します。

②経営トップの直下のチームにする

とはいえ、単に飛び地にしただけだと、島流しみたいな形にも見えなくもありません。

飛び地にした新規事業は、経営トップが直接指揮します。
できれば社長が望ましいですが、難しい場合でも、大きな予算と人事権、新規事業の経験を持った方が直接指揮するのが望ましいです。

③評価基準を変える

人材の問題を解決するにはこれが必要です。
①の子会社にした理由もこれに関連します。

新規事業は成功確率が低いので、既存事業のように売上や利益などの目標で評価するのが難しいのが現状です。

私が実際に大手企業で新規事業を取り組んでいたときもそうですが、同じ評価基準のなかだと新規事業チームは間違いなく評価が下がるので、いい人材を社内で募ることが難しくなります。

新規事業に適した評価基準を策定し、魅力のある組織にする必要があります。

④バジェットを確保し、細かいチェックをしすぎない

②にも関わることですが、チームに厳しさと、自由の両方を与えます。

予算を確保し大きな目標と結果目標をたて、メンバーが全力で取り組む環境を作り上げることが重要です。

特にやればやるほど、「これ本当に大丈夫かな。。。」と不安にかられることが多い中で、1つ1つのことに理由を求めていくと、それに回答するだけで日が暮れます。

目標の管理に関しては、OKRを使うのが適切です。下記は参考記事です👇

⑤既存事業のエース人材を新規事業に必ず入れる

リクルート創業者の江副さんは、売上も利益も経っている既存事業のエース人材を常に引き抜き、新規事業に引き抜いていました

下記書籍に記載があるので、参考までに読んでみてください。

一般的には逆で、エース人材を新規事業にアサインする経営者は少ないのが現状です。

しかしただでさえ困難な新規事業の立ち上げを、エース人材なしで成功させるのは極めて難しいです。

経営陣の合意をとり、これを実行することが、成功確率を上げるためには必須です。

⑥小さな成功体験をつくる

大変なことばかりが多い中で、1つも成功体験がないと心が折れます。

いつまでたっても成績が上がらないテスト勉強の様になってしまいます。

定期的に小さく課題を切り出し、成功体験を意図的に作り出していくことも、新規事業の組織マネジメントには非常に重要です。

⑦トップが明るく前を向く

ダメかもしれないと思うことが大半な中、リーダーがそれでも成功を信じ、チームを引っ張っていく必要があります。

「これはうまくいかないかもしれないな」とリーダーがいつも言っていたら、成功するものもしなくなります。

まずは大きな目標に対して確固たる自信をもつこと、不確実な中でも成功を固く信じ、何があってもその姿勢を崩さないこと、そしてそれをチームメンバーに共有し続けることが極めて重要です。


私自身は新規事業を立ち上げるのに必要な資質としては「カオスを楽しめるか」どうかが重要だと思っています。そんな人材をどうやって集めるかが、肝なりそうです

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